広告コピーを、言葉のセンスに頼らずに。
──AIで生まれ変わる“伝わる言葉”の作り方【自社運用シリーズ#3】
こんにちは。「食う、寝る、ゴルフ」、コピーライターのくすも・・、もとい株式会社セレンデック代表の楠本です。
このシリーズでは、AIを活用した中小企業のWebマーケティング内製化についてお届けしています。
まだご覧になっていない方は、こちらもぜひお読みください。
広告コピーって、作るたびに悩みませんか?
- 「なんかそれっぽいけど、響いてない気がする…」
- 「センスある人じゃないと無理」
- 「何パターンも考えるのがしんどい」
正直、私も過去に「これ、社内でやるのキツくない?」と思っていた時期がありました。
でも、今ではAI(ChatGPTやClaudeなど)を活用して、中小企業でも“納得できるコピー”を自社で作ることができるようになりました。
今回はそのために欠かせない「3C(自社・競合・顧客)」の整理と、AIへの効果的なプロンプト設計を、実例と一緒にご紹介します。
なぜ広告コピーは難しい?──「センス頼り」からの脱却
属人化しやすい「言葉の表現」
広告コピーは“正解がひとつではない”仕事です。
だからこそ、センスや経験に頼りがちで、社内で誰か一人に任せっきりになるケースが多いんです。
その結果──
- 何となく無難な表現に落ち着いてしまう
- 過去のコピーの使い回しばかりになる
- 「で、結局どれが反応いいの?」が分からない
こうした“属人化”と“反応不明”のループが、社内運用での限界をつくってしまいます。
中小企業でもできる、AIコピー活用の前提とは?
「AIにキャッチ考えて」はNGな理由
ChatGPTなどの生成AI(Generative AI)に、いきなり「キャッチコピー考えて」と言っても、
- 抽象的でぼやけた案
- テンプレ的で“どこかで見たことある感”のあるコピー
になりがちです。
これは、AIに“方向性”を示していないからです。
方向性が定まっていない状態でのプロンプトは、ざっくりした曖昧な答えしか返ってきません。
「とりあえず出力はされたけど、これって誰に向けてる?どんな印象を与える?本当にうちの商品に合ってる?」という状態になりがちです。
つまり、AIに“考えてもらう”には、まず「考えるためのフレーム(設計)」が必要なのです。
AIに伝えるべき「3C」とは?【広告コピー設計の基本】
AIにコピーを考えさせる前に、この3Cをしっかり整理しておくことが不可欠です。
この3つを順番に整理することで、はじめて「伝わるコピーを出すための地盤」が整います。 単なる情報の羅列ではなく、“誰に”“どう伝えるか”の意図を明確にし、AIに渡す。
以下にそれぞれのポイントを解説します。
① Competitor(競合)──“参考”と“差別化”の起点
- 競合のLP(ランディングページ)やバナー広告を集める
- AIに読み込ませて「どういう型が多い?」「どんな感情を狙ってる?」と分析させる
- → スワイプファイル(コピーの収集帳)として活用できます
競合コピーをただ真似するのではなく、そこから「何が言われていて、何が言われていないか」を抽出し、 自社が“言うべきこと”を見つけることが大切です。
② Customer(顧客)──“誰にどう届くか”を明確に
- 年齢層・職業・ライフスタイル・悩み・嫌う表現などを整理
- 「この人に、こう感じてほしい」まで言語化する
- → 感情設計(Emotional Targeting)も忘れずに
ペルソナ設計のコツは、「ひとりの顔が浮かぶかどうか」。 「40代女性」ではなく、「都内在住・共働きで子育て中・時短より“ちゃんとしてる感”を大事にする」まで落とし込めると精度が上がります。
③ Company(自社)──“伝えたいこと”と“らしさ”を言語化
- スペックではなく「選ばれる理由」「背景にあるストーリー」
- 「自社だからこそ言える言葉」=独自性(UVP)を明確に
たとえば「無添加」や「国産」は他社も言っていることかもしれません。
でも、「家族の健康を預かる“自分に手をかけられない人”に寄り添いたいから」といった背景や哲学を言葉にできると、それが“らしさ”になります。
AIプロンプトは“壁打ち”から始めよう【会話型がカギ】
いきなり「キャッチを出して」ではなく、まずは“相談”から始めるのがコツです。
ステップ式プロンプトで方向性を固める
あなたは広告ライターです。以下の情報をもとに、40代共働き女性に「安心感」を与えるキャッチコピーを5案出してください。 【競合コピー】A社「疲れた夜に、スープだけ。」/B社「そのまま、心と体に届く」 【顧客像】40代/共働き/料理の負担にストレス 【自社商品】無添加・国産の冷凍スープ。「手を抜かない感じ」が特徴 【NG表現】時短・ダイエット・がんばるママ など
このように段階的に情報を与えることで、AIの出力精度が大きく変わります。
特に「NGワード」を入れるだけで、トンマナ(=トーン&マナー)のズレを回避できます。
業界問わず使える、汎用テンプレートも活用しよう
どのジャンル・業界でも活用できる「汎用テンプレート」を以下にまとめました。
【3C(競合・顧客・自社)ベース × 感情設計 × 禁止ワード】 あなたは広告ライターです。以下の情報をもとに、ターゲット顧客に“伝えたい印象”がしっかり届くようなキャッチコピーを5案作成してください。 【競合コピー例】 - 競合A社「{{競合コピー1}}」 - 競合B社「{{競合コピー2}}」 → これらの“感情の方向性”や“型”を参考にしてください。 【顧客像(ペルソナ)】 - 年齢層:{{例:30代後半〜40代前半}} - 性別・職業:{{例:共働き女性・子育て中}} - 状況や悩み:{{例:時間がなくて毎日の料理がつらい}} - 行動の動機:{{例:「ちゃんとしたものを食べたいけど、余裕がない」}} - NGな印象:{{例:「ズボラ」「安っぽい」「ママ向けすぎる」などを避けたい}} 【自社商品・サービスの特徴】 - 主なベネフィット:{{例:国産・無添加・温めるだけの冷凍スープ}} - 他社との違い:{{例:「時短」よりも「ちゃんと感」「気づかい」にフォーカス}} - 伝えたい印象・感情:{{例:「私、大事にされてるな」みたいな安心感}} 【禁止ワード】 - {{例:時短、安い、ダイエット…などコンセプトとズレる表現}}
テンプレートのポイント
- すべての要素を埋めなくてもOK。特に「顧客像」と「伝えたい感情」が入っていれば精度が上がります。
- 競合コピーがない場合は、似ている業種・参考になる企業の例でも可。
- 複数案を出させたあとに、「この中だとどれが最も印象に残る?」とAIに聞き返すのも効果的です。
ABテストと微調整で“当たり”を見つける
生成AIは“精製”です。毎回結果が変わる=当たり外れがあります。
- 一発必中ではなく、“何案か出して、比較検証”が前提
- CTR(クリック率)やCVR(成約率)などを使って評価
- 反応の良かったワードを軸に再生成するのも有効
中小企業で実践できた「AIコピー改善事例」
ある食品系ECの事業者様では、
- 「社内にコピーを考える人がいない」
- 「でも外注するほどの予算はない」
という状況で、ChatGPTに10案生成させたところ、
- 3案をバナー用に使用→ABテスト
- 1案が突出して高CTRを記録
→ 以降はそのキャッチのトーンを基準に、別の商品にも展開。
今では「まずAIで試案→数字で選ぶ→磨く」の流れが、社内の標準オペレーションになったとのこと。
まとめ:AIコピーは“プロンプト設計”がすべて
- キャッチコピーに必要なのは、センスより設計
- 3C(自社・顧客・競合)をまず整理すること
- AIは一発で正解を出す“マシン”ではなく、“考える相棒”
まずは、「うちの商品、誰にどう届いてほしいか?」
そこから始めてみてください。
この気づきが、明日のコピー改善のヒントになりますように。
AIを活用して生産性をあげていきましょう、一緒に頑張っていきましょう!
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