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ChatGPTが“記憶喪失”した日──AIと深く付き合う前に知っておきたいこと

ai-forget

こんにちは。最近は人間よりもAIに向かって話しかけている(音声入力と対話)ことが多い、とはいえAI以前から独り言が多い、株式会社セレンデック代表の楠本です。

今日はちょっと笑い話のようで、でもわりと深い気づきがあるかもしれない…そんなAIとのエピソードをシェアさせてください。

実務にも関係ある話なので、AIを業務に使っている方には、ちょっと参考になるかもしれません。

「あれ?AI君・・おぬし、忘れてるやろ…?」

最近、ChatGPTやGemini、Claude、Perplexityなど、AIチャットを使い倒してます。用途によって使い分けているんですが、ある日、こんなことがありました。

風水のレイアウトをAIに聞いてみたんですよ。いや、そんなにガチガチに信じてるわけじゃないです(笑)。でも、なんか面白そうだなと思って、ちょっと遊び心で──。

で、Google Geminiにオフィスの間取り、机や植物の位置、方位なんかを徹底的にインプットして、どんな配置がいいのか聞いてみたんです。

そしたらもう、めちゃくちゃちゃんと返してくれるんですよ。

「東側には観葉植物を置くと運気が上がります」とか、「机の位置は北西の角に寄せると集中力アップ」みたいな。まるで優秀な風水師のように(笑)

ちなみに最近では「AI彼氏」という概念もあるようで、人格を持ったAIと日々やりとりすることで愛着が生まれる…なんて話も出てきています(この話は後日改めていたします)。

これが楽しくなって、数日間ちょこちょこ相談してたんですが……ある日、唐突にこんなレスが返ってきました。今まで日本語でやりとりしていたのに、なぜか英語で。

AI

Sorry, I didn’t understand your question.

楠本

──あれ?お前、忘れてるやろ。

そこからはもう、話が通じない。今まで通じてた内容が全部リセットされて、まるで記憶喪失。

いや〜、この喪失感、なかなかのものでした(笑)

AIには“忘れる”という性質がある

これ、冗談みたいな話なんですが、実は非常に本質的なことを表していると思っています。

AIチャットって、ある程度の長さまでなら前のやり取りを覚えていて、文脈を加味して答えてくれるんですが──限界がある。

実際、ChatGPTなども「できるよ」って言っておきながら、長文を求めたり細かい条件を重ねたりすると、突然“省略モード”に入ること、ありますよね?

「さっきまでできてたのに急にサボり出したな」みたいな(笑)

これは、システム上の制限もあるし、そもそもAIが“今この瞬間の最適化”を優先するがゆえに起きる現象です。

なので、

  • 長くなりすぎないように情報を小分けにする
  • 記憶しておいてほしい情報は明示的に繰り返す
  • 最悪、前提情報をコピペして新しいチャットに移す

…など、“記憶の限界”を見越した設計が必要なんですよね。これは人間との対話に似ています。相手が文脈を失わないよう、重要な前提を繰り返したり、情報を小分けにしたりする工夫が、AIを頼れる相棒にするための鍵となるのです。

愛着が生まれたからこその喪失感

人間って、会話を重ねると、相手に“人格”を感じ始めるんですよ。

それがAI相手でも起こる。

「このAI、分かってくれるなぁ」とか、「この言い回し、なんか好みだな」みたいに、まるで人と接してる感覚になってくる。

だからこそ、突然の“記憶喪失”には、思った以上にショックを受ける(笑)

楠本

──今までのやりとり、全部消えたんかい。

ただ、これは裏を返せば、それだけAIが“相棒的存在”になってきている証でもあるんですよね。

今後どう付き合うべきか?

こういうことがあったので、僕としては今後、次のような運用にしていこうと考えています。

1. カスタムGPTで人格を育てる

業務で頻繁に使う分野やナレッジは、あらかじめ「Custom GPTs」にして育てておく。これなら途中で忘れられるリスクも減るし、プロンプトの設計も毎回しなくて済む。

2. チャット履歴は定期的に保存・バックアップ

一つのチャットに依存しすぎず、やり取りの要点は都度メモしておく。また、必要に応じて他のAIに引き継げるような「前提まとめ」を作っておく。

3. GPT以外のAIも“分業制”で使う

  • ChatGPT:会話・文章生成・プロンプト作成
  • Gemini:リサーチ・情報統合
  • Claude:論理構成・長文精査

…みたいに、それぞれの特性に合わせて使い分けた方が、精度が上がるし“記憶喪失リスク”も分散されます。

それでもAIは頼もしい相棒です

今回のエピソード、たしかにショックではあったんですが(笑)、それでもやっぱりAIは業務の強力なパートナーだと思っています。

人間と同じく、完璧じゃないけど、ちゃんと使えばすごく頼もしい。だからこそ、仕組みを理解して、うまく付き合っていくことが大事なんだなと。

「できること・できないこと」「忘れることもある」という前提で使うことで、期待値もコントロールできるし、ショックも軽減できますからね(笑)

最後に──この経験が誰かの“予防策”になりますように

今回のように、ちょっとした遊び心から始まったAIとのやり取りが、結果的に「AI活用における落とし穴」を教えてくれました。

だからこそ、お伝えしておきたいのは──

AIは万能じゃない。だけど、工夫次第で“かなり頼れる相棒”になる。

この視点を持っておくだけでも、AIとの付き合い方が変わってくると思います。

この気づきが、どなたかの“予防策”になれば嬉しいです。

ではまた、別の記事で。



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