こんにちは。株式会社セレンデック代表の楠本です。
最近、「正解って何だろう?」と思うことが増えました。いや、厳密に言うと──「かつての正解は、今も正解だろうか?」という問いです。
それもそのはず。働き方、ツール、価値観…。あらゆる“前提条件”が、AIによって書き換えられているんですよね。
かつての私は、「このやり方でやってきたから」「これがうまくいったから」という経験則に、少なからず安心していたと思います。でも、その“正解”が、ある日突然通用しなくなる。
そういう瞬間が、確実に増えてきました。
アンラーニングとは何か?リスキリングとの3つの違い
アンラーニングの意味と定義
アンラーニングとは、既存の知識や思考パターンを意図的に手放す学習方法です。AI時代では、過去の成功体験が足かせになることが多く、アンラーニングによる働き方の見直しが重要になっています。
「今までのやり方を、あえて疑ってみる」──この発想が、AI時代の土台になるのではないかと感じています。
リスキリングとの具体的な違い
アンラーニングとリスキリングには、目的や難易度、期間において明確な違いがあります。
項目 | アンラーニング | リスキリング |
---|---|---|
目的 | 既存知識の放棄 | 新知識の習得 |
難易度 | 高い | 中程度 |
期間 | 3-6ヶ月 | 1-3ヶ月 |
つまり、アンラーニングは「学び直しの前段階」なんですね。
実は、“新しく学ぶ”より、“古いものを捨てる”ほうが難しい。
でも、それこそが、変化の時代を生き抜く「柔らかさ」だと信じています。
なぜ今アンラーニングが必要なのか?AI時代の3つの変化
情報処理速度の劇的な向上
かつては「分析には時間がかかる」のが常識でしたが、今ではAIが数秒でアウトプットを出してくれます。
「え、もう終わったの?」と驚いたこと、正直何度もあります(笑)
このスピードに適応するには、旧来の“考え方の前提”を見直さざるを得ません。
反復作業のAI代替化
稟議書の作成、議事録の整理、プレゼン資料のたたき台──
これらの“人力前提”の仕事が、AIで自動化されつつあります。
「じゃあ、人間は何をするのか?」
その答えを出すためには、「過去の役割」から一度離れる必要があるんです。
正解が即座に提示される時代への移行
ChatGPTのようなAIが、“それらしい答え”を秒速で返してくる今。
「答えを持っていること」よりも、「問いを立てられること」のほうが重要になってきました。
そしてその“問い”は、いったん自分の中の前提を外した時にしか、生まれてこないんですよね。
アンラーニングの実践方法|4つのステップで解説
ステップ1:自己認識と棚卸し方法
「うちのやり方はこうだから」
「この業界では当たり前」
「前はそれでうまくいった」
…そういった“常識リスト”を、まずは紙に書き出してみること。
やってみると、意外と「え、これ今でも本当に有効?」と感じる項目が出てくるものです。
ステップ2:疑問と対話の導入テクニック
私はよく、若手や異業種の友人に「これって今も必要?」と聞いてみます。
一番効いたのは、「なんでそれってやってるんですか?」という素朴な疑問(笑)
AIとの対話もオススメです。常識を問わない相手だからこそ、気づけることがあります。
ステップ3:意図的な「捨て」⇆「整理」プロセス
「これ、そろそろ役目を終えたかも」
そんな思考や行動に気づいたら、私は「手放しメモ」を作ります。
- いつからやってる?
- なぜ始めた?
- 今、続ける理由はある?
こう書くだけで、だいぶ心が整います。
ステップ4:再学習の設計と習慣化
空けたスペースに、次の学び直しを。
- 抽象化思考
- 問いを立てる力
- AIとの共創スキル
学び直しは「足すこと」だけじゃなく、「整えること」でもある──アンラーニングを通じて、私はそう実感しています。
営業・デザイン業務の事例から見る「アンラーニングの効果」
社内資料作成:Microsoft信仰から“AI起点+Google調整”へ
一昔前までは、資料作成といえばExcelやPowerPointが当然の選択肢でした。数字を並べ、図表を作り、スライドを整える──“作ること”に時間と労力をかけるのが常識だったんです。
でも最近では、AIに「このテーマで概要を出して」「売上レポートの要約をつくって」と頼むだけで、下地が整ってしまう。
そこから、人間が加えるのは“意味づけ”や“文脈の整理”。
最終的に使うのは、Googleドキュメントで共有したり、PowerPointで伝わるように整えたり。
つまり、最初から自分で“作り込む”のではなく、「AIに出してもらってから整える」のが新しい標準になりつつあります。
この転換は、ただのツール変化ではありません。「情報はすべて人間が作る」という前提が崩れた──という、本質的なアンラーニングです。
デザイン:Photoshop信仰からCanva活用へ
昔は、「ちゃんとPhotoshopで作らないとプロじゃない」と思っていました(笑)
でも、今はSNSバナーやチラシのような軽量デザインであれば、Canva+テンプレートの方が早く、整い、反応も良い。
「そもそも何のためにデザインしてるんだっけ?」という目的を思い出したとき、手段へのこだわりが不要だったことに気づけました。
これも、アンラーニング。
目的を再確認することで、「こだわっていたつもりが、実は手段に執着していただけだった」と分かるんですよね。
組織文化が変わるとき──アンラーニングが「当たり前」を書き換える
アンラーニングの面白いところは、「やり方」だけじゃなく、「考え方」や「話し方」まで変えてしまうところだと思っています。
たとえば私のまわりでも、最近こんな変化が起きました:
- 「これって本当に必要?」とメンバー同士で“問い直す”会話が増えた
- 会議の目的が「決定」から「検討」にシフトし、余白が生まれた
- 若手からの「これ違うかもしれません」という声が歓迎される空気に
これはまさに、「問いを立てる文化」が根づきはじめた証拠です。
正解を出すのではなく、問いを耕す。
それが、アンラーニングが生み出す組織変化の本質だと感じています。
よくある質問(FAQ)
- Q1:アンラーニングって、どんな人に必要ですか?
A:役職も年齢も関係ありません。「少しでも違和感を感じる人」すべてに価値があります。特に“過去の成功体験が多い人”ほど大きな可能性を秘めています。 - Q2:どれくらいの期間で変化が出ますか?
A:思考の切り替えは、早ければ数週間で実感が出ます。ただし深いレベルでの定着には3〜6ヶ月を見ておくのが現実的です。 - Q3:全部捨てないといけませんか?
A:いいえ。捨てるのは「思い込み」や「決めつけ」。価値のあるスキルや経験は“整理して活かす”方向です。 - Q4:チームで導入するにはどうすればいい?
A:まずは小さく「問いを共有する習慣」から始めてみてください。上司が“問い直す姿勢”を見せるだけでも、大きな文化転換につながります。
このFAQはあくまでも参考です。実際のFAQ内容を適応させてください。
【診断】あなたはアンラーニング、どれくらい必要?
次の項目にいくつ当てはまりますか?
- 3年以上同じ業務フローを繰り返している
- 新しいツールを試すと「不安」より「面倒」が先に来る
- 「この方法が一番いい」と思い込んでいる業務がある
- 「昔はよかった」と言う回数が増えた気がする
- 「うまくいってるから変えなくていい」と感じている
3つ以上当てはまるなら──今こそ“問い直すタイミング”かもしれません。
最後に──あなた自身の「問い」を育ててみませんか?
アンラーニングは、「過去を否定する」ことではありません。
むしろ、「過去を見直し、いまを問い直す」ことで、次の学び直しや挑戦に向かう“構え”をつくる行為だと思っています。
この先、AIや社会の変化はさらに加速するでしょう。
だからこそ、自分の中の“正解”に固執せず、「それ、今も本当に必要?」という問いを、優しく手元に置いてみてください。
それが、未来の柔軟な選択につながると思うのです。
✅ ご自身やチームの「AI活用力」を一歩ずつ高めたい方へ
アンラーニングもリスキリングも、AI時代の“土台作り”です。
セレンデックでは、日々の業務に即した実践型AI講座を、個人・法人向けにご提供しています。
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今は間違いなく時代の転換期です。「小さく始めて、日常に根づかせる」──一緒に頑張っていきましょう!