AI 2027が描く未来と、Web制作会社の“これから”──セレンデック楠本の現場的考察
こんにちは。2025の現在、2027年にはきっとダイエットと肉体改造に成功してロナウドのような肉体になっているだろうと未来予測をしている、株式会社セレンデックの楠本です。(一般社団法人AIキャリアリスキリング開発機構の代表理事もしています)。
🧩 導入:ある制作現場での“違和感”から
ある日、若手スタッフがこう言いました。
……いや、いいんですよ。便利なツールは使ったらいい。でも、その時ふと思ったんです。
「じゃあ、俺らがやってきた“経験”って、どこまで意味あるんやろう?」と。
Web制作って、かつては「人間のセンス」と「積み重ねた知識」が価値だった。けれど今、AIはその“積み重ね”すら一瞬で再現できるようになってきている。
それを象徴するのが、「AI 2027」という論文です。
AI 2027とは何か?──“近未来シナリオ”としての本質
「AI 2027」は、元OpenAIの研究員であるDaniel Kokotajlo氏らが発表した、未来のAI進化とその社会的影響をシナリオ形式で描いた仮説文書です。
一見、フィクションのようにも思えますが、同レポートの特徴は「科学的・論理的に、現実起こりうる未来」として描かれていること。
つまり、“予想”というより、“条件付き予測”。その条件とは、以下のようなポイントです:
🔑 AI 2027が提示する未来のステップ
2025年:自律的エージェントの進化段階
- AIが、指示を与えれば自動で作業・検索・簡易タスクをこなすレベルへ。
- AIを補助ではなく「共同作業者」として扱う企業が増加。
2026年:自己強化型AIの登場
- AIが自らの学習・改善をAIで実行する“自己強化ループ”に突入。
- これにより、ソフトウェア・研究・戦略などあらゆる分野で「人間超え」の成果が現れ始める。
2027年:スーパーヒューマンAIの台頭
- 人間の開発者より速く・正確に・独創的なソリューションを出すAIが登場。
- ソフトウェア開発、製薬設計、軍事判断など、あらゆる意思決定にAIが関与。
この進化のスピードは「インテリジェンス・エクスプロージョン(知性の爆発)」とも呼ばれ、AIがAIを進化させ続けることで、指数関数的に能力が向上する──という構図です。
🌪 想定される社会的影響
- 国家間競争の激化
AIの軍事利用・産業応用に向け、アメリカ・中国を中心とした技術競争がさらに熾烈に。 - 労働構造の変容
「知的労働」さえAIに代替され、ホワイトカラー職が大規模に変化する恐れ。 - 倫理・統制の危機
制御不能なAIによる意思決定、フェイク情報の生成、意図しない判断──“人類の支配構造”そのものに影響を与える可能性も。
一方で、これらは「必ず起こる未来」ではありません。あくまで「このまま開発競争が続いた場合」のリアルなシナリオ。
🧠 Web制作業界に訪れる“2つの構造崩壊”
AI 2027で描かれている未来は、単なる研究開発の話に留まりません。
わたしたちの“日々の仕事”──その基盤さえ、根本から変える話なんです。
1. コーディングの“人力価値”が消える
AIが「スーパーヒューマンコーダー」になるというのは、制作業界にとって“職能の地殻変動”です。
- HTML+CSS
- レスポンシブ対応
- API連携やフォーム設置
こういった作業は、数秒でAIが出力。しかもエラーも少なく、細かな修正も学習で進化する。
正直、「うちの新人より賢いかも…」と思ってしまうくらい(笑)。
これまでは“知識”と“技術”が価値だった。でも、今後は「どこに向かうか?」を設計できる力に価値がシフトしていくのです。
2. デザインの価値も再定義される
MidjourneyやFigmaのAI連携により、
- イメージ生成
- 配色提案
- レイアウト改善
これらも「プロっぽく」仕上がる。問題は──“考えられていない”ことに気づけない人が増えること。
今後、生き残るデザイナーは「見た目」より「意味ある体験設計」に重きを置ける人。
つまり、AIによって淘汰されるのは“薄い仕事”であり、逆に“深く掘れる力”が武器になります。
AI時代に求められる“人の力”──セレンデック楠本の現場論(後編)
1. 「問いを立てる力」がすべての起点になる
AIは、前提と目的がセットになって初めて力を発揮します。
でも逆に言えば、「なぜそれをやるのか?」「誰のために、何のために?」という“問い”が曖昧なままでは、どれだけ優れたAIも役に立ちません。
たとえば、LP制作を依頼されたとしましょう。
ChatGPTに指示すれば、それなりの構成案やコピーは返ってきます。でも──
- そもそも、なぜ今このタイミングでLPなのか?
- 何を売るのか? 誰に響かせたいのか?
- 読んだ人に、どんな行動変容を期待しているのか?
こういった“問い”を深掘りし、構造的に整理できる人こそが、AI時代のWebディレクター/設計者になっていきます。
2. 「選び、捨てる力」が、真の編集力
AIは、100のアイデアを「秒」で出してくれます。でもその中に“正解”があるわけではない。
むしろ、「どれを捨てるか?」の判断のほうが重要。
たとえば、FigmaでデザインをAI補助させると、3パターン以上の案があっという間に出ます。でもそこで「これは目的に合っていない」「これはユーザー目線で伝わらない」とジャッジできなければ、結局“中途半端な選択”に。
つまり、編集力=取捨選択の意思決定が求められます。
それは経験値や仮説構築、ユーザー理解、そして“直感”によるものかもしれません。だからこそ、人間の介在価値が残るんです。
3. 「リアルの場」における会話力・信頼構築力
オンラインでは、AIを使えば“それっぽく”ふるまえます。
でも、リアルの場ではそうはいきません。
たとえば、クライアントと初めて対面した商談の場。資料を読み上げるだけならAIでもできる。でもそこで、
- クライアントの言葉の裏にある“本音”を感じ取る
- 目の動き、表情、声のトーンから関係性を構築する
- 雑談の中からヒントや潜在課題をすくい取る
──こうした「対人スキル」こそ、AIでは代替できない“人間力”です。
AI時代に求められるのは、むしろ“人としての温度”のあるコミュニケーションなのだと、現場にいるほど感じます。
4. 「学び続ける姿勢」が、差をつくる
AIは日進月歩。1週間前のノウハウがすでに古びることもある。
だからこそ、「継続して学び続けられる人」が生き残ります。
でもこれは、決して“最先端を追い続けろ”という話ではなく──
- 「知らないことを、素直に学べるか?」
- 「わからないとき、質問できる環境をつくれるか?」
この“姿勢”が、組織全体の変化対応力になります。
セレンデックでは月1回の「AIラボ勉強会」を設け、メンバー同士が試したツールや感想を共有しています。
「完璧な知識」ではなく「一緒に悩める関係性」が、最大の資産だと考えています。
5. 「人間性」が、最終的な差を生む
ちょっと抽象的かもしれませんが、やっぱり最後に残るのは「この人と仕事したい」と思われる人間性だと思っています。
たとえば──
- 謙虚さと、芯のある意見が同居している
- 人の話を最後まで聞ける
- 感謝やリスペクトを伝えることを面倒くさがらない
これらはAIでは再現できない、「にじみ出る人格」です。
“機能としての人材”が淘汰されていく時代。
「存在としての価値」を問われる時代に、僕たちは足を踏み入れています。
と、偉そうなことを言っていますが(笑)、私もまだまで未熟な箇所が多く、「お前が言うな!」状態にならないように、人間力を磨くために定期的に内省の時間をとっています。頑張ります。
🏢 セレンデックが実践する、“人の力”の育て方
最後に、セレンデックで実際に行っている取り組みを紹介します。
取り組み | 目的・効果 |
---|---|
月1回の「AIラボ」 | 実験→共有→対話で、知識を“共通言語化”する |
対面ヒアリングへの同席育成 | 若手もクライアントの“現場空気”を感じられる |
UXレビューの構造化シート | 「ユーザー視点→導線→成果」を因果で捉える練習 |
日報の“内省”シェア | 単なる進捗でなく、「考えたこと」も言語化 |
雑談の推奨/フィードバックの習慣化 | 組織内の“心理的安全性”を保ち、対話を継続する。リモートワークがメインのため、月1一回のお食事会 |
このように、「ツールで効率化する」だけではなく、
“考え方・伝え方・在り方”をアップデートし続ける文化こそ、AI時代における組織の強さだと僕は信じています。
次の一歩として──あなたの進化を後押しする講座をご用意しています
もし、この記事を読んで「もっと学んでみたい」「行動を始めたい」と感じた方がいれば、
セレンデックでは2つの講座を用意しています。現場目線で、実践的に“使える知恵”をお届けしています。
- 個人向け:AI時代の“考える力”を育てる
『AI Webディレクター養成講座』- ChatGPTやNotion AIなどを活用した、ゼロから始めるAI仕事術
- ヒアリング・構成・提案・ライティング・AI活用の“ディレクション5技能”を実務に落とし込む
- 初心者・未経験者でも、「考える力」と「伝える力」を体系的に学べる講座です
- 法人向け:AI導入から内製化までを設計
『AI・DX戦略構築講座(法人研修プラン)』- 現場で「なぜ進まないのか」を構造的に分析
- 部署別ヒアリングから始める“内製化の第一歩”
- 最新AIツールの活用例と、現場に定着させる教育設計をワーク形式で支援
🧭 最後に…
AIを使い、自分で考えて技術を使いこなしていきたい方へ
この時代を、共に考え、共に創っていけたら嬉しいです。
必要な方に届くよう、少しでも参考になるコンテンツになれば幸いです。
何でも構いません、ご興味ある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
──セレンデック 楠本
「これ、ChatGPTでコード出したら一発でした」