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AI導入を成功させるための5つのステップ

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こんにちは。会社にAI導入を行うには結局経営者の覚悟が必須。時はAI時代、最後は気合と根性の精神論、株式会社セレンデック代表の楠本です。

今日は「中小企業がAI導入を成功させるための5ステップ」について、お話ししたいと思います。
この記事は、親記事としてしっかり完結させながらも、関連する子記事と連動した構成でお届けします。

普段私が書いている内容も踏まえ、読み応えのある内容にしていますので、
ぜひご自身のビジネスに役立てていただけると嬉しいです。

☆ Step 0:導入前に立ち止まる──経営層と現場の温度差を揃える

ほとんどの中小企業でAI導入が空回りしてしまうのは、経営者がAIを理解していても、
現場スタッフの理解や納得が追いついていないケースが多々あるためです。

私自身も、「管理部はOK、営業は様子見」という状況でPoC(概念実証)がなかなか進まなかった経験があります。
ここでは、目的の共通化とインセンティブ設計を、導入の最初の段階でしっかりと整えることが重要です。

1. AI導入計画の立案と目標設定:まず“なぜやるのか”を明確にする

「AIを入れれば業務がラクになる」――そう思って導入したのに、数ヶ月後には現場から「結局使ってないんですよね…」
という声が聞こえてくる。これ、実はかなり高い確率で起きている失敗パターンです。

理由は単純で、“目的とゴールが曖昧なまま進めてしまったから”に他なりません。

例えば、AIを使って請求書処理を自動化するという施策。ここで本当に問うべきは、
「それによって何が変わるのか?」「誰が得をするのか?」という本質的な問いです。
時間削減が目的なのか、精度向上なのか、それともスタッフの負担軽減なのか――
目的が違えば、選ぶツールも、必要な体制も、導入タイミングもすべて変わってくるのです。

ポイントは以下の3つです。

  • AI導入の「目的」を明確に言語化すること
  • 成果指標(KPI:重要業績評価指標)を具体的な数値で定義すること
  • 関係者全員と“目的の共通理解”を徹底的に作ること

※KPIとは、この施策がどれだけうまくいっているかを判断するための、具体的な数値目標を指します。
例えば、「請求書処理の作業時間が30%短縮されたか」や「データ入力ミスが50%減少したか」といった具体的な指標を設定することで、AI導入の成果を客観的に評価できるようになります。

このような目的とKPIの設定を導入前にしっかり行うことで、「なんとなくAIを入れてみたけれど、結局何も変わらなかった…」という失敗パターンを8割以上防ぐことが可能です。
明確な目標があれば、現場も納得して取り組み、導入後の効果測定もスムーズに進み、次の改善へと繋がりやすくなります。
AI導入は単なるツールの導入ではなく、ビジネスプロセス全体の最適化を目指す取り組みなのです。

2. 小規模導入とPoCで効果検証:まずは“局所的にやってみる”

AI導入において一番多い失敗は、「いきなり全社展開してしまうこと」です。
新しいものを導入する時は勢いがあるうちに広げたい気持ちは分かりますが、それが実は大きなリスクとなるのです。

私たちが推奨しているのは、“スモールスタートのPoC(Proof of Concept:概念実証)”です。

※PoCとは、「実際にうちの業務でもちゃんと使えるのか?」を小規模かつ短期間で試してみる取り組みのことです。
例えば、経理の一部業務だけにAIを使ってみて、その効果があるか確かめるような実験的な導入がこれに当たります。

具体的には、以下の点を意識します。

  • 1部署・1業務・1ツールに絞って導入すること
  • 2週間〜1ヶ月程度の短期検証を行うこと
  • 「成果/課題/現場の反応」を詳細に記録し、次に活かすこと

このPoCがうまくいくと、現場にも自信と安心感が生まれます。
「思ったより簡単だった」「これなら自分たちでもできるかも」という“体感”が、
その後の本格導入成功への第一歩となるでしょう。
小さな成功体験が、組織全体のAIに対する心理的なハードルを下げ、
前向きな姿勢を育む上で非常に重要な役割を果たします。

3. 社内体制と人材育成:現場の“AIリテラシー”を底上げする

AIは決して魔法ではありません。「導入したら勝手に何とかしてくれる」と期待していると、
まず確実に失敗します。なぜなら、実際にAIを使うのは、他ならぬ「人間」だからです。

ここで非常に重要なのが、“最低限のAIリテラシー教育”を社内で実施することです。

※AIリテラシーとは、「AIとは何か?」「何が得意で、何が苦手か?」「どうやって使えば業務がラクになるか?」といった
基本的な知識・スキルのことです。例えば、「AIに何を入力すれば期待通りの結果が返ってくるのか?」や
「AIの判断には限界がある」といった、AIの特性を理解することが含まれます。

ポイントは3つあります。

  • AI導入の“目的”と“できること/できないこと”の線引きを明確に伝えること
  • 基本的な操作トレーニングと、分かりやすいマニュアルを整備すること
  • 実際にAIを使っている様子を横で見る、あるいは一緒に試す場を作ること

また、導入フェーズでは「AI推進担当(AIアンバサダー)」を1〜2人立てると、
その後の定着率が飛躍的に向上します。
彼らが現場の疑問を解消し、成功事例を共有することで、
AIが組織に自然と浸透していく環境が作られます。

4. 適切なAIツール・ベンダーの選定:合うものを“小さく”選ぶ

ツール選定でよくある失敗は、「多機能すぎる」「高すぎる」「使いづらい」の3点セットです。
つい最新の高性能ツールを選びがちですが、それが必ずしも自社に最適とは限りません。

実際、ある企業で年間200万円もするAIツールを導入したものの、
結局「誰も使わなくて解約」という悲しい結果になったケースもありました。

ポイントは以下の点に注目することです。

  • 自社の具体的な目的と課題に本当にフィットするかどうか
  • 機能の多さよりも、現場のスタッフがストレスなく使える“使いやすさ”を優先すること
  • トライアル版や無料版、あるいは短い期間での契約を活用して、まずは“小さく”試すこと

※トライアルとは、一定期間無料で使える体験版のことで、まずは使い勝手や効果を気軽に確認できます。
※期間契約とは、一般的な1年契約ではなく、3ヶ月など短い期間で契約できるものを指します。
本格導入の前に試せるため、安心して導入を進められます。

また、ベンダーとのコミュニケーションも非常に重要です。
「質問に迅速に答えてくれるか」「現場のニーズに合わせて柔軟にカスタマイズしてくれるか」といった“柔軟性”が、
意外と導入成功の決め手になることが多いです。

5. ROI分析と継続的改善:導入後がスタート地点

AIの導入が完了しても、そこからが本当のスタート地点です。
「どれだけの時間が削減されたのか?」「どの業務でミスが減ったのか?」――
これらを定量的に測っていく仕組みがなければ、“なんとなく便利そう”で終わってしまいます。

※ROIとは「Return on Investment(投資対効果)」の略で、
投資したお金や時間に対して、どれだけの成果が得られたかを表す指標です。
AI導入で言えば、「ツール導入費用に見合う業務効率化ができたか?」という視点になります。
例えば、「月10時間の業務を5時間に短縮できた」のであれば、それは明確なROIが出ていると言えるでしょう。

継続的改善のステップは以下のとおりです。

  • 導入前と後でKPIを比較し、成果を“数字で”可視化すること
  • 現場からのフィードバックを吸い上げる仕組みを定期的に構築すること
  • 必要に応じてツールや運用フローを柔軟に見直し、改善していくこと

AI導入は、一度やったら終わりではありません。
使いながら育てる”という感覚が非常に大事です。
AIは単なる製品ではなく、“運用の仕組み”であり、
常に現場の声を取り入れながら最適化を図っていくことで、
真価を発揮するものです。

まとめと読者への問いかけ

ここまでご紹介してきたように、AI導入は「入れるだけで成功するもの」ではありません。
以下のように段階を踏んで丁寧に進めることが、失敗を防ぐ最大のコツとなります。

  • 目的とゴールを定める(KPIの設定
  • 小さく試して改善点を知る(PoCの実施
  • 現場の理解と協力を得る(リテラシー教育
  • 実務に合ったツールを選ぶ(現場フィットの重視
  • 効果検証を怠らず、継続的に改善するROI分析と振り返り

もしかしたら、それでも不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
「うちの会社でもできるかな…?」「どこから手をつければいいかわからない」と。

しかし、そんな時は、“できるところから始める”だけでも十分です。
完璧を目指すのではなく、まずは一歩を踏み出すことが大切です。

私たち自身も試行錯誤の連続で、最初からすべてが完璧にできたわけではありません。
でも、実際にやってみることで初めて見えてくる景色がある。これは間違いありません。

よくある質問(FAQ)

  • Q1:うちは社員数10名の会社ですが、それでもAIって導入できますか?
    A. はい、むしろ小規模企業ほどスモールスタートが効果的です。まずは1業務・1ツールから、小さく始めることをおすすめします。
  • Q2:AIを導入すると人が要らなくなるのでは?
    A. いいえ、その心配はありません。人間の判断や創造力が必要な業務は残りますし、AIはあくまで“補助役”として機能させるのが理想です。AIがルーティンワークを肩代わりすることで、人はより付加価値の高い業務に集中できるようになります
  • Q3:ITに詳しくない現場でも使えるツールはありますか?
    A. はい、最近は「ノーコード(プログラミング不要)」で使えるAIツールが非常に増えています。直感的な操作性を持つものが多く、ITの専門知識がない現場の方でも比較的簡単に使いこなせるでしょう。ツール選定の際は、シンプルな操作性を重視すると良いでしょう。
  • Q4:PoC(概念実証)は誰が進めればいいの?
    A. PoCは、現場の業務に最も詳しい人が中心になって進めるのが理想的です。例えば、現場のリーダーと管理部門の担当者が協力する形が良いでしょう。もし社内にIT部門があれば、彼らに協力してもらうとさらにスムーズに進められます。
  • Q5:AI導入に補助金や助成金などの支援制度はありますか?
    A. はい、あります。自治体や中小企業庁が提供している補助金・助成金制度を活用できます。例えば、「AIを活用したツールを導入するIT導入補助金」や「業務改善助成金」などが代表的です。その他にもAI研修に使える助成金もあり、これらは弊社セレンデックでも取り扱っています。要件は自治体や制度によって異なりますので、事前に確認が必要です。

なお、弊社でも対応している助成金プログラムがございます。詳細はお問い合わせください。


AIを実務で活用するための講座

「じゃあ、どうやってその力を身につけるのか?」

「現場で、AIをどんな風に使えばいいのか?」

そうした問いにお応えする形で、AIを実務で活用するための2つの講座を運営しています。

🎓 AIディレクター育成講座(個人向け)

「言語化」「問いの設計」「アウトプット改善力」を体系的に学べるオンライン講座。未経験からでも“使いこなせる人”になるための実践ノウハウを凝縮。

セレンデックではAIウェブディレクター育成講座を開催しています。ご興味ある方は是非ご参加ください。体験会、説明会も実施しています。
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🏢 AIDX法人講座(企業研修向け)

中小企業の現場で成果を出すための、AI内製化&チーム導入支援プログラム。実際の業務課題を教材に、チーム単位でAI活用を浸透させていきます。

👉 AIDX法人講座はこちら

🎯 最後に:一歩を踏み出すために

AI導入は、現代のビジネスにおいて“未来のための重要な選択肢”のひとつです。

無理に進める必要は全くありませんが、「今より少しでも良くしたい」「人の力をもっと活かしたい」と
感じた時には、AIは必ず力強い味方になってくれる存在となるでしょう。

“完璧”を目指すのではなく、まずは“試してみる”ことが、何よりも大切なスタート地点です。
小さな一歩が、大きな変化へと繋がります

このブログ記事が、あなたの会社がAI導入への最初の一歩を踏み出すきっかけになれば、
これほど嬉しいことはありません。

ご相談やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。

ありがとうございます。



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