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なぜWebデザイナーの単価はこんなに安いのか?──構造の罠から抜け出す“設計者=ディレクター”への道

「え、これで2,000円…?」という案件が当たり前になっている現実

こんにちは、AIを活用して各業界の丁稚奉公を最適化したらどうなるのか空想している、セレンデック代表の楠本です。
クラウドワークスやランサーズを眺めていると、

バナー1枚2,000円、LP制作15,000円、WordPressのカスタマイズ込みで25,000円──

そんな案件が、冗談ではなく、日常的に出てきます。

それに対して、こう思ったことはありませんか?

Webデザイナー

いやいや、さすがに安すぎるでしょ…

一方で、駆け出しのWebデザイナーさんと話していると、こういう声も多く聞きます。

でも実績ないんで、これでも受けないと…

正直、暇なので安くても受けてみました

とりあえずやってみないと、自信もつかないし…

気持ちはよく分かります。
でも、それが市場の“底値”を作ってしまい、

結果的に「ちゃんと価値を出している人まで安く見られる構造」になっている。

この問題の本質は──
スキルではなく、「視座」にある

というのが、今日お伝えしたい核心です。

Webデザイナーの単価が異常に安くなる“構造的理由”

ピラミッド構造:上は高額、下は飽和状態

Webデザイン市場は、明らかなピラミッド構造です。

  • 上層:大手企業案件、ブランディング、UI/UX、コンサルレベル
  • 中層:実務経験者、受託案件を安定して回せる中堅
  • 下層:スクール卒、駆け出し、副業層

この“下層”に属する人の数が圧倒的に多く、
結果としてクラウドワークスなどでは供給過多=価格競争になります。

しかも、下層では「実績がないから安くてもやりたい」「暇してるくらいなら…」という動機で受注する人も多く、
「とりあえず受ける人」が単価の下限を引き下げているのです。

クラウドソーシングとAI×テンプレート時代の到来

今の時代、Canva、STUDIO、Notion、Figma、さらには画像生成AIなどの普及により、
「それっぽい」デザインは誰でも作れます。

しかも、テンプレートを使えば見た目も崩れにくく、少し触れるだけで“それなり”のものが短時間でできてしまう。

発注者の目線からすると、こうなります。

発注者

なんかみんな同じ感じ。これテンプレでしょ?

だったら、安い人に頼めばいいよね

──これが構造的な価格崩壊の正体です。

発注者も素人、受注者も素人、だから炎上する

さらに厄介なのが、発注側も受注側も“素人同士”であることが多いという点。

発注者

このくらいの料金でいいでしょ?

受注者

やってみます!できます!

──でも、フタを開けたら実は大変な要件だったり、CMS構造が複雑だったり、ソースコードがグチャグチャで後から修正できなかったり。

こうして、「フリーランスは危ない」「安かろう悪かろう」とレッテルが貼られていく。

駆け出しの「実績欲」が構造を壊しているという事実

この話をすると「初心者を責めてるんですか?」と言われることがありますが、そうではありません。
むしろ私は、駆け出しの方こそ正しく“育ってほしい”と思ってます。

ただ、現実として──

  • 「安く受けて実績にする」
  • 「やりながら学ぶ」
  • 「暇だから受ける」

この行動が、結果的に市場全体の価格を引き下げているのです。ここに悪意はありません。しかし、構造的に負のスパイラルを生んでいることも事実です。市場全体の健全性を考えると、この状況は非常に深刻です。特に、本来高いスキルと価値を持つべきデザイナーが、低単価の案件に流れてしまうことで、業界全体の質が低下してしまうリスクを抱えています。この負の連鎖を断ち切るには、個々のデザイナーが自身の価値を高め、価格競争に巻き込まれないための戦略を身につけることが不可欠です。

デザインとは「見た目」ではなく「設計」である

ここが、今日最も伝えたいところです。
デザインは、ただ綺麗にすればいいものではありません。

  • 「ユーザーにどう思ってもらうか」
  • 「どういう行動をしてもらいたいか」
  • 「そのために、どんな構成・配色・余白設計にするか?」

これが本来の商用デザインです。

ときには「ダサく見えるほうが信頼される」こともありますし、
「高級感を抑えたほうが売れる」こともある。

だから、「見た目」ではなく「目的」を語れる人こそ、
デザインの価値を上げられるんです。

単価を変えたいなら、提案者になれ

結論として──

あなたがやるべきことは、「御用聞き」ではなく「提案者」になること。

  • 「その要望だと、こういう構成のほうがいいと思います」
  • 「こういう見せ方だと、ユーザーはこう感じる可能性があるので…」
  • 「今後の運用も見据えて、こういう設計がおすすめです」

このように、“考えて伝える力”があると、
クライアントからの信頼も深まり、価格で選ばれなくなります。

これが、ディレクターという仕事です。

最後に:あなたの価値は、見積もりではなく視座で決まる

今、Webデザインは「誰でもできる」になってしまっています。

でも、「誰にでもできる」は「あなたがやらなくていい」という意味でもある。

だからこそ、“誰にでもできない場所”に立つべきなんです。

  • 目的から逆算して設計し
  • クライアントとビジョンを共有し
  • AIやテンプレも活用しながら、全体を組み立てていく

そういう“設計者”としてのWebデザイナー/ディレクターが、
これからの時代、本当に必要とされる人材です。

セレンデックではAIウェブディレクター育成講座を開催しています。ご興味ある方は是非ご参加ください。体験会、説明会も実施しています。

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