2025年最新版|AI倫理と規制、著作権の全体像──経営層が押さえるべきガバナンス5原則
はじめに──なぜ今、“AI倫理と規制”が経営課題なのか?
こんにちは。リスペクトしてオマージュしながらインスパイアされ、タイガーウッズのスイングをTTP(徹底的にパクる)したい、株式会社セレンデック代表の楠本です。
ある日、社内で生成AIを活用して販促資料を作っていたとき、ふとこんな違和感が湧いたんです。
「この画像、AIで作ったらしいけど…著作権ってどうなってるんやろ?」
便利になったなぁと思う反面、「これ、誰も気にせず使ってるけど、あとからトラブルにならんかな…」と。不安の種って、こういう“小さな違和感”から始まるんですよね。
2025年現在、EUではAI Actという包括的なAI規制法がいよいよ段階的に施行され、企業には“説明責任”や“透明性”が求められるようになってきました。
※AI Actとは?
EU(欧州連合)が定めた世界初の包括的AI規制法で、AIを「リスクレベル」に応じて分類し、特に「高リスクAI」に対しては説明責任や透明性、安全性、データガバナンスなどを義務付ける内容です。
2025年8月現在、一般用途AI(GPAI)にも「コード・オブ・プラクティス(実務規範)」の適用が求められています。
日本も「法制化はまだ…」とはいえ、企業活動への影響はすでに始まっている。
だからこそ今、“攻め”と“守り”の両立が求められているんだと思います。
経営層が向き合うべき倫理リスクの5分類
1. 著作権・コンテンツ利用ルールの不明瞭さ
生成AIが生み出す画像や文章、その“元ネタ”が著作権のあるものだった場合──企業にとっては見逃せないリスクです。
実際に、海外では訴訟や集団抗議も増えていて、日本国内でも徐々に“炎上予備軍”が増えてきている印象です。
特に販促物や広報素材として外部に出す場合は、使ったAIの学習元まで踏み込んでチェックすべき時代に来ています。
※2025年8月現在の著作権状況(日本)
現時点では「AIが生成した画像や文章」に対する著作権は認められておらず、基本的には誰でも自由に使える扱い。ただし、学習に使われた元ネタ(漫画・イラスト・写真など)に著作権がある場合、利用方法によっては“間接的侵害”に問われる可能性も。
- 完全オリジナルの生成画像(出典が曖昧)
- 既存キャラ風の画像(パロディかどうか曖昧)
- 有名漫画の構図・タッチを再現した画像
つまり、著作権者との距離感が“見えにくい”生成物ほど、企業が注意すべきです。
リスクは“誰が見ても分かりやすいもの”より、“誰も気づかないまま通ってしまうもの”のほうが怖いんですよね。
2. 社内外データの扱い(プライバシーと情報保護)
社内資料や顧客情報をChatGPTなどに気軽にコピペ──ついやってませんか?(笑)
でも、AIに渡したデータは、その時点で“外部環境”に出ている可能性があります。
情報保護の観点からすると、これは明確な“漏洩”扱いにもなりかねません。
特に、顧客との契約書や社内の機密ドキュメントを扱う現場では「AI活用ルール」を一度は棚卸しすることをおすすめします。
3. 説明責任(Explainability)と透明性
「なぜこの結論に?」──AIのアウトプットに対して、社内外からこう問われた時、説明できますか?
私たちの現場でも、「AIがそう判断したから」だけでは通用しない場面が増えてきました。
EUのAI Actでは、出力結果のロジックや根拠の“説明可能性”が求められるようになっています。
つまり、AIに任せるほど「なぜそれが正しいのか?」を私たち人間が説明する必要がある。ちょっと矛盾してるようで、すごく本質的な話ですよね。
4. 意図しない差別・バイアス
たとえばAI採用ツールが「女性応募者を不利にする」──こんな話、聞いたことありませんか?
実際、過去に使われていたデータそのものに偏りがあると、AIはそれを”正解”として再現してしまうんです。
正直、私も最初は「そんな単純な話ある?」と思ってました。でも、やってみると分かるんですよね。
たとえば、過去10年間の社員データをAIに学習させたとしましょう。もしそのデータに、性別の内訳として“男性の採用が大半だった”という傾向が含まれていたら──AIはその傾向を、「男性の方が採用されやすい」パターンとして学習してしまうんです。
つまり、過去の人間の選考結果そのものに偏りがあった場合、それを“正しい判断のロジック”として機械的に再現してしまう。
怖いのは、そうした“人間の無意識のバイアス”を、AIが“あたかも論理的な判断”としてアウトプットしてくる点なんです。
- どんなデータを学習させるか?
- そのデータに偏りがないか?
- そもそもその判断軸は“倫理的”か?
ここをスルーしてしまうと、AIって案外簡単に“おかしなこと”やっちゃうんですよね。しかもこれ、採用だけじゃないんです。評価、人事異動、営業のターゲティング…あらゆる場面で起こり得る。
私たち経営側としては、単に「精度が高いからOK」じゃなく、「判断の質」を見ていかないといけない。
──でも、逆に言えば、設計の段階で意識すれば、AIは“共感できる判断”もちゃんとしてくれる。
それが分かってから、私はAIに対してちょっと優しくなれました(笑)。
5. 周辺リスク(フェイク・偽装・信頼毀損)
音声クローンやフェイク動画などの“生成物”が悪用される事件も増加しています。
本記事では深掘りしませんが、これらは企業にとっても取引・広報・危機管理の文脈で無視できないテーマです。
※詳細は別記事「生成AIと倫理崩壊リスク」で解説予定
実務で何から始めればいい?3つの初動アクション
1. 倫理ガイドラインの制定と社内教育
まずは「何をしてよくて、何がNGか?」を明文化すること。法務部門・情報システム部門・現場チームが連携し、実際の業務フローに即したガイドラインを作ることが重要です。
テンプレートを流用するのではなく、あくまで“自社の業態・リスク”に即した実運用前提で作成しましょう。
“守り”というより、“迷わないための地図”をつくる感覚が近いかもしれません。
2. リスク評価と外部連携(AIガバナンス体制)
AI導入時には「誰が・何を・どう評価するのか」を明確にすることが重要です。
- 評価チェックシートの整備
- Slack等での通報チャネル設置
- 外部弁護士や第三者レビューの導入
うちでもこれ、やってみたら意外と工数少なくてできました。「やる前が一番こわい」って、あるあるですよね(笑)。
3. 社外への透明性発信(取引先・顧客)
社内で整備したルールは、対外的にも開示・説明することで信頼性につながります。
- AI活用の目的や判断補助の範囲を説明
- クレーム時の対応体制を明示
- ホワイトペーパーやFAQの活用
結果的に「おたく、ちゃんと考えてますね」と言っていただけることが増えました。
気づき:ルールを整えると、むしろ現場が動きやすくなる
「ガイドラインを作ると、逆に縛りになるのでは?」という声もあります。
でも、実際には“守るべき基準”が明文化されることで、現場は安心して動けるようになります。
心理的安全性が増し、「この判断で合っている」という共通認識が生まれる。結果的に、スピードもミスも減っていく。
AI倫理=制限ではなく、「判断を支える共通言語」。そう捉えるだけで、社内の空気がガラッと変わるんですよね。
あなたの会社、“説明できるAI”になっていますか?
倫理的リスクって、意外と“うっかり”から始まります。
でも大丈夫。すべてを完璧に整える必要はありません。まずは小さな一歩からでいい。
- 社内チェックリストの導入
- 倫理ルールのたたき台づくり
- 専門家との簡易ミーティング
「一緒に考えていきましょう」──そう言える体制を整えることが、これからのAI時代における企業の“信頼づくり”なのかもしれません。ただ、、簡単に言うと誰が見てもあからさまなパクリや盗作はNGですよ、と当たり前の話になるのかと思います。結局のところは。
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